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[後記] 『ケペル木村とオオタマルのブラジル音楽おもしろ講座』~詩人 ヴィニシウス・ヂ・モライス~


”詩”は韻律やら語呂やら制約のあるなかで、ことばを選びぬいてつむいでいく知識人の専売特許、随分と窮屈な作業なんだろうな、なんて勝手に思い込んでいました。



年末に、作家の故 開高健さんのドキュメントをTVで観たときに、”どうしようもなく心が行き詰まったときに出てくる言葉が詩になる”なんて内容のことを語っていました。


考えてみれば、ひとりの人間の思惟なんてとんでもなく複雑で、何千何万と。。いやいや細胞の数ほどもある、と語ったのはダライ・ラマ十四世だったか。そんなのが複雑に絡み合っていて、その中からことばを選び出すってことは容易ではないですね。。もはやことばを選ぶという作業ではないのでしょう。



詩人という生き物にぐっと興味が湧いていた時に、とても良いタイミングでヴィニシウスと出会えたと思っています。



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サブタイトルに。「ヴィニシウス・ヂ・モラエスの華やかな男性遍歴?!?!」とケペルさんが考えて下さいました。ちょっと奇妙ですが、ヴィニシウスと関連した何人かのパートナー[Parceiros(パルセイロ)]つまり曲の共作者たち、を追いかけることでその半生と音楽を追跡しようという目論見です。

ヴィニシウスは早い時期に親元を離れ、英才教育をうけて育ったそうです。”家族”というものに対する考え方が、ジョビンとはかなり異っていたと、その私生活からも見てとれるでしょう。ヴィニシウスは生涯で9回結婚しています。


共作者たちとして私たちが注目したのは、トム・ジョビン(1927- 1994)、カルロス・リラ (1939-)、 バーデン・パウエル(1937-2000)、そして最後のパートナーとなるトッキーニョ(1946-)の4人です。

いずれものパートナーも若いときに、ヴィニシウスと知り合っています。1954年~トム・ジョビン(27歳)、1961年~カルロス・リラ (22歳)、 1962年~バーデン・パウエル(25歳)、1969年~トッキーニョ(23歳)です。当然パートナーとの年の差も、彼の年齢と共に開いて行くわけです。まさに男性遍歴(笑)なんですが、ヴィニシウスがつねにその肉体の老いとは無関係に若い感性を持ち続けていたことが想像できます。

写真 (2)



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そうしたパートナーたちとの時系列で追って音楽を聞くために、ケペルさんが予め音源を用意して下さいました。


先ずはジョビンとの共作から

1 Chega de Saudade / Banda Nova
2 Garota De Ipanema / Cássia Eller e Nelson Faria
3 Eu Sei Que Vou Te Amar / Ângela Rô Rô E Antônio Adolfo
4 Se Todos Fossem Iguais a Você / Simone e Wagner Tiso

もっとも有名な2曲から、シェガ・ヂ・サウダージをバンダ・ノーヴァの演奏と、ちょっとソウルフルな歌声でのイパネマの娘を聞き。エウ・セイ・キ・ヴォウ・チ・アマール (伴奏のマエストロ、アントニオ・アドルフォ(pf)はショーロのレコードでも聴いたことがあります)。シモーネの吸い込まれるような歌声でジョビンのコーナーを締めくくりました。

気付くといつの間にか、個人的な思いなどが壮大なテーマにまでつながってしまい、それらがさらに同時に鳴り響くというのがジョビンとの共作からは感じられます。

つづいて、カルロス・リラのコーナー。ボサノバのブームにのって登場してきたリラが、R.ボスコリとの共作を離れサンバに回帰していたころヴィニシウスと出会いました。

5 Minha Namorada /Carlos Lyra
6 Samba Do Carioca / Antônio Carlos Jobim
7 Coisa Mais Linda / Gal Costa E Paulo Bellinati

と、日常的で爽やかでありながら、どこかウィットに富んだナンバーがつづきます。こういう曲はどこか知的な余裕がないと書けないですよね。ちょっと皮肉屋さんのカルリーニョスは、ヴィニシウスを当時のカリオカ・サンバ(リオのサンバ)により引き寄せていったのかもしれませんね。

ここで、会場に来てくれていた 『Hug a Tree』 山内三咲(vo)さんに "Voce e Eu"(あなたと私)を歌っていただきました。ケペルさんのタンボリンも小気味良く絡みます~♪



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後半では、いよいよバーデン・パウエルとの出会い。

アフロサンバ(Afro Sambas)('66)の作品などで知られますが、1962年にギンリ公園(リオ市内、ラルゴ・ド・マッシャード)の近くのヴィニシウスのアパートで一気に25曲を作曲したと伝えられます。思想・信仰の面でもアフロブラジル色が強まっていった時期なのでしょう。酒量が増えていったのもこの時期と聞きます。

選曲には悩みましたが、『祝福のサンバ』 Samba da Benção を題材にしました。予め用意した歌詞のレジュメと共に、ことばを追いかけて行くことにしばし時間をとりました。


写真 (1)


この曲のなかで特に注目した部分は

"Porque o samba é a tristeza que balança"
サンバはスイングする悲しみだから..

"A vida é arte do encontro Embora haja tanto desencontro pela vida"
行き違いはたくさんあるけれども 《 人生は出会いの芸術だ 》


うまいことを言います。

"Se hoje ele é branco na poesia. Ele é negro demais no coração"
彼(サンバ)は、近頃では詩のうえでは白人でもその心は寧ろ、より黒人なのだ。

自らを "O branco mais preto do Brasil" 《ブラジルでもっとも黒い白人》と呼ぶ、ヴィニシウスらしい。


などなど。。


こうしたサンバやアフロのようによりディープな方向に傾倒して行ったことは、ヴィニシウスの持つ深い祖国愛にのうえに成り立っているのかもしれません。

詩のみで 《 Pátria Minha(わが祖国)》がありますが、今度じっくりと読んでみたい。


そしてトッキーニョとの時代、ブエノス・アイレスでのライヴの『祝福のサンバ』をレジュメの歌詞を追いながら皆で聞きました。


ケペルさんが、トッキーニョとの出会いやブエノスアイレスでの公演にまつわる逸話もお話ししてくれました。

このころのヴィニシウスたちは世界ツアーで欧州など、年間に何百ものステージをこなしていたそうです。

すごい体力ですね。。

最後に'70年、リオの”カネカォン(小劇場)”でのミウーシャ、トッキーニョそして、トム・ジョビン(このときヴィニシウスとは何年ぶりかに共演)のライヴCDを聴きました、本当に良い演奏です。こちらも、もっとじっくりと時間を掛けてまた聞きたいと思いました。 ※ミウーシャ(vo)は、ジョアンジルベルトの元奥様で、シコ・ブアルキの実姉

写真 (3)

座したまま、語りかけるように歌う詩人の映像と共に閉会しました。


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ヴィニシウスについてはもっと時間を掛けて知りたいと強く思いましたので、また機会を設けたいです。








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来月は、休日の午後です。

第5回目/3/20[水] 
OPEN14:30/START15:00~


「ジョアン・ジルベルトを聴きまくる至福の2時間!」

[詳細]

keperu_ohtamaru_omosirokouza_2012_08.jpg







[ 2013/02/21 17:39 ] ライブスケジュール | TB(0) | CM(0)
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2010.8.1 BACK IN TIME
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4/4(土)15:00-
【Mesa~ブラジル音楽の食卓~】
新富町マデイラ
オオタマルg、齋藤徹cb、さとうじゅんこvo、喜多直毅vl

4/11(土)朝11:00-
【オオタマルのショーロ教室】
西巣鴨マルメラアダ

4/17(金)19:30-
【ホーダ・ヂ・ショーロ】
吉祥寺アウボラーダ

4/18(土)19:00-
【ブラジルナイト@小岩倶楽部】
小岩 カフェ小岩倶楽部
(東京都江戸川区南小岩5丁目21−15)
℡ 03-3673-3193
オオタマル7g,他 ※禁煙>

4/22(水)20:00-
【オオタマル(g,vo)のソロ】
平井タイム・アフター・タイム
※禁煙です。

4/25(土)19:30-
【オオタマルg,vo ライヴ】
吉祥寺アウボラーダ
オオタマル7g,vo 小森慶子cl 千田利貞perc

5/23(土)15:00-
【オオタマルg,vo ライヴ】
新富町マデイラ
オオタマル7g,vo 小森慶子cl ねこいちperc ※禁煙>

5/26(火)19:30-
【ねこに聞かせるサムバ+1】
西荻窪音や金時
オオタマルg、中川恭太cl、かみむら泰一sax

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